今月の糖尿病ニュース

2月の糖尿病ニュース

 今年は浪速に春を告げるお相撲さんがやって来ないので季節感が今一歩です。2月の糖尿病ニュースは当クリニックのインスリン治療の現況報告です。現在インスリン治療中の患者さんは60名、開始一ヶ月未満2名と1型8名を除いた50名の平均年齢は64才、平均糖尿病罹病歴は11.6年、平均HbA1cは7.76%でした。インスリン治療者の施設平均HbA1cは7.5%を切るのが一応目標とされています。施設により測定法が異なりちなみに当クリニックで行っている(近隣の基幹病院と同じ)HPLC法は高く出る方法ですが、それでも7.5といわず7.0ぐらいにするにはどうしたらよいでしょうか?ひとつは自己血糖測定の推進です。天理よろず相談所病院、石井均先生のデータによりますとSMBGを1日3回している人は0回の人に比べHbA1cが0.9%も低かったそうです。ただしなぜ測るか、いつ測ったらよいか、どう解釈するかよく説明して興味をもって自分から進んで測りたいと思ってもらうのが鍵です。もうひとつは早期(A1cがあまり上がらないうちに)に導入することです。やはり同先生のデータによるとA1c8.5で導入しても平均7.5までしか下がらず、逆に6.5%未満を達成するにはA1c7.6%程度で導入が望ましいとされています。当クリニックにおいても2~3年罹病歴が短く、すなわち早くインスリンを始めているグループがあり他のグループより平均A1cは1%ほど低く7.0%を達成していました。HbA1c6.5%または7.0%達成率もそれぞれ約4割と5割で良好でした。そのグループとは1日1回打ちのグループでした。早く決断されたので1回しか打たなくてもA1cがよくさがったのか、はじめから2回以上で始めましょうと勧めると開始の決断がおくれ難渋するのか、インスリンが効きにくい素因があって打つ回数が増えていき経過がながくなっているのか、解釈は様々ですが一般にA1cは発症して年数がたつほど上がり、上がるとインスリン治療の効果は落ちるということはよく知られた事実なので、「1回打ちで早い時期に開始」という結論は妥当ではないでしょうか。「効きにくい素因」というのは一番難しい問題ですがインスリンをはじめることにより自信が生まれ意識がかわり生活習慣改善につながるという効果も期待されます。

おおはしクリニックの糖尿病ニュース

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では1日1回打ちの場合、どんなインスリンを使うのでしょうか?1日全体が高い、あるいは朝食前血糖が高い人には寝る前に持続型インスリンを、食後にぐんと上がる人には一番 高くなる食事の前に(超)速効型インスリンを、どちらともいえないひとには両者の混合型インスリンを用います。不思議なことに効果を実感されると2回打ちたい、3回打ちたいという人も稀ならずおられます。おおはしクリニックの糖尿病ニュース さてお話はインスリンの勧めという方向になっていますが、それに代わる飲み薬あるいは注射であってもインスリンでない薬という手はないのでしょうか?答えはイエスです。しかし確率は高くはないようです。インスリンが必要と思われたが同意されなかった人、あるいは他の施設でインスリンを勧められて相談に来られた人に最近インクレチン製剤を使うことがよくありました。例の「ためしてガッテン」で紹介された新薬です。達成されたA1cは平均7.8%、A1c6.5%達成率は12%、A1c7.0%達成率は28%でした。糖尿病罹病年数が平均13.2年と長かったためかもしれませんが、少なくともインスリンを凌駕するとは言えません。また血糖降下剤をあわせて平均3.5種類(インスリン治療者は平均1剤以下)のんでおられます。 インスリンを勧められている方は出来るだけ早く始められるよう主治医とよく相談してください。既にインスリンをしている方でA1cが改善しない場合は自己血糖測定のやり方を主治医や糖尿病療養指導士、管理栄養士によく教わってください。

2011年2月

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