今月の糖尿病ニュース

2024年5月の糖尿病ニュース

第67回日本糖尿病学会年次学術集会参加報告

おおはしクリニック 第67回日本糖尿病学会年次学術集会が5月17日から3日間東京で開催されました。
一昨年はサルコペニアのメカニズムについて関心を持ち骨格筋、昨年は診療現場でアプリとの出会いから医療Dxを重点的に追いかけましたが、 今年は膵性糖尿病をきっかけに内分泌系と外分泌系の関係について不明点の多いことを知り膵関連を中心に予定を組みました。近年ハイブリッドに 慣れて特別講演・シンポジウム等はオンデマンド、現地では一般口演・ポスターの流れでしたが、ほぼ現地のみの今年は時間的にタイトでした。 また気のせいかもしれませんがポスター会場が過去同会場開催時より狭くなったように感じました。

膵以外では医療Dx関連シンポジウム中「高血圧治療補助アプリのメッセージは医師のアドバイスより有効な場合がある」という演者からの発言、 周術期血糖管理の目標値が重症患者では140~180ではなく110~140でも著しい低血糖がなければ許容されるというアメリカ糖尿病学会の意見( 関連してTITR: time in tight range 70~140の概念)、大腸がん術後予後と糖尿病専門医数の施設間格差に関する発表と議論、 Advanced HCL インスリンポンプの成績・スマートガード(補正ボーラスの自動化)・高齢1型適応について、同じく介護の必要な高齢者にも 期待されるインスリンアイコデックの紹介、などが診療に直結する話題でした。


おおはしクリニック 膵に関して、膵癌と糖尿病の関連(互いにリスクファクター)では超音波内視鏡の必要性有用性について一般口演がありました。 新規糖尿病で入院した患者さんに必ず施行する施設があり消化器科との連携についても質疑応答がありました。感度特異性ともにCTやMRIより 優れているとのこと、消化器内視鏡学会のWebサイトを見ると1cm以下の膵癌でも85%の検出率とありました。分岐型IPMNフォローアップ中診 断後4年目に膵癌発症報告もありました。因みにIPMNと糖代謝の関係について文献がありました(1)。

膵β細胞関連では女性研究者賞受賞講演「膵β細胞の分化・成熟・増殖とその制御因子~糖尿病マウスにおけるβ細胞再生誘導の細胞生物学的研究」 と特別講演「ヒューマンオルガノイドを用いた代謝疾患研究」にインパクトを受けました。しかし難解だったので関連論文に挑戦してみようと思 います(2)(3)。
比較的身近なものとして経口血糖降下薬イメグリミン(ツイミーグ)が膵α細胞においてグルカゴン分泌抑制、脱分化・分化転換を誘導する、 ヒトiPS細胞からの膵β細胞分化・成熟を促進するという演題がありました。


おおはしクリニック


参考文献
  1. 高池浩子ら:膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)術後の糖代謝の経過についての検討. 東女医大誌 87: E192~197, 2017年11月
  2. 稲田明理:β細胞の供給源と増殖について. 福岡醫學雜誌 103: 233~240, 2012年12月25日
  3. Belin Selcen Beydag-Tasözら:オルガノイドモデルを用いて糖尿病の理解を深める. Nat Rev Endocrinol 19: 232-248, 2023
2024年5月


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