今月の糖尿病ニュース

12月の糖尿病ニュース

アイスクリーム こんにちは、おおはしクリニック看護師長の音喜多節子です。12月の糖尿病ニュースをお届けします。突然ですが実は糖尿病は奥が深く難しいというイメージがあって苦手でした。この患者さんが上手く行かないのは私の指導不足なのだと思う事が多かったからです。しかし何とか克服しようと思い、9年前日本糖尿病療養指導士の資格を取得しました。血糖自己測定、インスリン治療、足の手入れなど実技指導と患者さんの気持ちを理解し精神的バックアップができるよう療養指導を担当しながら現在も勉強を続けています。

その一つが私の肥やし(心の栄養)となっている【劇団ケンケン】です。クリニックこまつ在職中に京都医療センター臨床研究予防医学研究室、岡崎研太郎先生からお声を掛けていただいたのがきっかけで一員となりました。【劇団ケンケン】は劇を上演することにより患者さんの啓蒙活動、糖尿病医療従事者の教育活動を行っていますが、劇団員自身も療養指導の技量を高めていくことができるのではと思っています。その初めての公演が今年5月に大阪国際会議場で開かれた日本糖尿病学会新企画「糖尿病劇場」で、私は医師の黒子役を務めました。糖尿病劇場は、日常行われている、ありふれた糖尿病診療や療養場面を「演劇」の形で再現しいったい何が患者さんと医療側のすれ違いを起こしているのかを探り、スタッフの「臨床の知」を深めようとする試みです。劇の特徴は、黒子が登場人物の本音を喋りながら進行していく事です。今回は外来医師が血糖コントロール不良の患者にインスリン治療が最適だという自信があり何度もインスリン導入を勧めるが、患者さんは拒否を繰り返し結果受け入れないというストーリーを元に医療者側と、患者さんの思いのすれ違いを浮き彫りにしました。医師の黒子を演じてみて、患者さんの思いに触れ、その人らしい生き方、人生の糧を見出してあげる、出来ない事を指導しても患者さんは変わらない 変わる手助けをするのが私たち療養指導士の役割であると再認識しました。患者さんとの会話に詰問(あら捜し)ではなく、質問する時はおしつけにならないように情報収集しながら、楽しく取り組める方法を一緒に見出せるように心がけるようになりました。会場はあふれんばかりの立ち見もできるほどで大盛況でした。患者さんとスタッフは同じ治療同盟を結び、一枚のキャンパスに同じ夢を描くことであると教えられました。いつも患者さんと話会える関係を築いておく事が大事でその為に何でも話せる関係、環境作りに徹して行きたいと思いました。黒子は初めての経験で心臓ばこばこでしたが、患者さんの思いに近づけた気がします。

糖尿病ニュース 2回目の糖尿病劇場は11月15日に京都勧業館みやこめっせで開催された第2回市民講座「現代人をおそう糖尿病、その予防について考えようパート2」 中のプログラム「あなたならどうする?糖尿病といわれたら」でした。初めて糖尿病を診断された検診結果を巡り、信楽のたぬきみたいなお父さんが家族の支えで食事や運動の治療に取り組む過程です。休日ゴロゴロの日々から夕食後に夫婦でウォーキングに取り組み3ヶ月後はスリムになり痩せて体が楽になった場面を再現し私はリポーター役をつとめました(写真)。ポテトサラダは野菜と思って食べていた、健康食品と思ってたべていたものが悪かった、例えば糖分の多い栄養ドリンクを体力補給に良いと摂取していた、いきなりきつい運動を開始した、など劇を通じて誤りと知ってもらい、そのあと目から鱗の勘違いメニュー、ポテトサラダを温野菜、ごぼうサラダ、野菜のお浸しなどローカロリー食品に変えたらいいこと、ウォーキングの注意点、歩き方、靴の選び方、紐の結び方などを解説しました。 愛情の裏返しは無関心ではなく、市民のみなさんは家族の愛の支えで治療していきましょうとファシリテーターの岡崎先生が熱く語られていたのが印象的でした。 劇団の練習やミーティングには勤務終了後夜7時過ぎから毎週のように行われ大変でしたが、他施設の糖尿病スタッフとの交流はかけがえのないものですし、そして何よりも毎回「勉強になった」という客席の声を支えに今後も活動を続けたいと思います。

2009年12月22日

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