今月の糖尿病ニュース

6月の糖尿病ニュース

糖尿病ニュース

今回は5月27日(木)~29日(土)岡山で開催された第53回日本糖尿病学会の報告です。岡山での学会は初めてで、27日は早朝から友達の車に便乗し5人でいざ出発、わいわい話しているうちにあっという間に着きました。
まず昨年学会初登場の糖尿病劇場についてです。私自身、昨年は黒子役で、今年は裏方で参加しました。糖尿病劇場とは、日常診療で問題となる場面を劇化し、診療の技量を高めようという試みです。第1幕;インスリンを拒否する1型糖尿病患者(沖縄チーム)、
第2幕;食事指導に怒る患者(東京チーム)では、「まだまだ患者さん目線に立っていないことがある」、「忙しくて時間がないと言い訳して一方的に押し付けている」日頃の自分を反省しつつ、「みんなはこういう風に考えているんだ」ということを知りました。新たな視点に気づき、自分が成長出来るように日々努力して行く為にも今後劇場に参加することにより新たなエネルギーをもらい明日への活力にして行きたいと思います。余興としてわが関西チームは頭と身体のウォーミングアップを行いました。ハッピの背中にももの絵を貼り付けた桃太郎、着ぐるみの猿など桃太郎軍団が3部構成で劇場を盛り上げました。閉眼片足立ち保持時間で「10秒以下は神経障害が起こっていますよ」と説明すると「片足立ちは難しい」、「意外にできんもんやね」という声が聞かれました。
ケータイdeアンサーを使いましたが参加者数は700人定員会場の中735人もいたそうで立ち見も大勢いました
 リスカンin岡山に初めて参加し、こういった研修会もある事を知ったのも収穫でした。
「リスニング&カンバセーション」糖尿病療養に指導携わる医療スタッフを対象に行っている研修会の略です。実践! 療養指導のためのロールプレイ(患者さんのためのロールプレイ)~患者さんの気持ちになってみませんか?~患者さんの視点、気持ちで療養指導を考えます。参加者が患者さん役、療養指導士役になり現場での難しい患者さんへの指導を
ロールプレイします。摩訶不思議な自己血糖値の値が出たと悩む患者さんにある療養指導士は「星占いと思って下さい、よくとるか悪くとるか? そういう時もある、一緒に考えましょう!」とコメントしたそうです。「いいなあそういう療養指導士にコメントもらいたいね」と盛り上がりました。

次は今年初企画ながら人気の高かったDebate Session(公開討論)の話題です。10以上の演題の中から私は「網膜症のある患者さんの血糖コントロールは緩徐に行うべきか否か?」について興味をもって聴講しました。糖尿病網膜症の治療の基本は血糖コントロールであるにもかかわらず、急激に血糖が下がると逆に網膜症の発症・進展のリスクが上がることが経験的に知られています。会場調査でも90%以上の参加者が緩徐にコントロールする方が良いと考えていました。したがって急速に下げてもよいとするならどういうことに注意をするかが重要になります。頻回に眼科を受診することが条件という意見がありました。また単純網膜症までは支障なしという意見もありました。しかし未解決の問題と思われました。
 企業展示ブースの新たな情報としては、新しいインスリン注射針「マイクロファインプラス4mm」がBDより「針は怖くない」をコンセプトに発売されました。利点は皮膚をつまみ上げなくても注射が出来る、筋肉内注射のリスクが減ることで欠点は皮膚に対して垂直に穿刺しないと(斜め)にすると皮内注射になることがあることです。わずかの人先着順にお試しでサンプルを渡していますのでまた御意見下さい。
学会終了後には石井均先生の講演と箱庭療法について症例検討会がありました
「今は亡き河合隼男先生は患者さんと話をするといつも必ず『ふーん、ほー、感動した』といわれていました。患者さんから学ぶのだと」
の中の小さな世界である箱庭は、それを造る者のこころを反映させた象徴的世界です。箱庭という枠に守られることによって、患者は安心して隠していた自らの世界を造り出すことができ、押さえつけられていたこころが解き放たれて、本来持っているこころを取り戻すことができます」
木曜の早朝から土曜深夜までみっちりと勉強して来ました。

2010年6月

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