今月の糖尿病ニュース

4月の糖尿病ニュース

4月は運動に最適な桜と新緑の季節です。今月は糖尿病予備群(以下、予備群と呼びます)について考えてみます。予備軍かどうかは空腹時血糖100~125mg/dl、HbA1c5.2~6.0%、または肥満、高血圧、脂質異常症の合併有無などによって決められるようですが、毎日の診療で悩むのは 1)ブドウ糖負荷試験を行ったほうがよいかどうか? 2)HbA1cはどこで測ったものでも同じように扱ってよいか? ということです。アメリカ糖尿病学会誌に昨年から今年にかけて発表されたAbdul-Ghani、DeFronzo先生らの論文によると1)は可能であれば行ったほうがよいようです。なぜなら、糖尿病の原因はインスリンを分泌するβ細胞の働きが悪くなることですが、ブドウ糖負荷試験を行うと2時間後の血糖値、最初の30分後間のインスリン増加分/血糖値変化、 2時間に測った血糖値の総和、さらに何分で空腹時血糖にもどるかどうかを知ることができβ細胞の働き、つまり糖尿病になる危険性をより正確に評価できるからということです(他にもMatsuda Indexなど多数の有用な指標が計算できます)。論文では何分で空腹時の血糖にもどるかが特に重視されており、1時間血糖値が155以下になるかどうかが目安とされています。先日当クリニックに空腹時とブドウ糖負荷試験2時間血糖値が100以下、1時間血糖値が240台の人が受診されました。「正常ですから安心してください」と説明せず「予備群ですよ」と伝えましたが血糖降下剤(ベイスン)が予備群の一部に保険適応になったことなどもあり今後、より正確な予備群の判定が求められるのではと思います。2)については、「同じでない」が正解です。日本のHbA1cは国際基準より0.4低いことは明らかとなりましたが、国内施設により0.2~0.3程度の誤差があることは暗黙の了解のようです。したがって糖尿病の診断をするときにもHbA1c6.1%以上のみでは不十分で血糖値でも確認が必要と決まっています。予備群でも同様でしょう。予備群でもβ細胞の働きは40~50%失われているとされ糖尿病は言うに及ばず予備群の早期発見早期治療が必要です。まず体重を管理し一人一人にあった運動をしましょう。

2010年4月

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