今月の糖尿病ニュース

10月の糖尿病ニュース

いよいよニュースを掲載開始します。ニュースといっても、糖尿病に関連する医学雑誌記事や学会情報の中から院長が日々の診療に参考にしようと考えたものを選び解説します。今回はアメリカ糖尿病学会雑誌Diabetes Care 8月号からです。フェノフィブラート(商品名リピディル、またはトライコア)という高脂血症、特に中性脂肪を下げる効果が強い薬について2題記事がありました。糖尿病性網膜症の治療といえば血糖コントロール、光凝固術、硝子体手術が基本でおされるが、フェノフィブラートは光凝固術の必要性を30%ほど減らしたと報告されました。血液中の脂肪を減らしたからではなく網膜から脂肪をとったり、悪い血管(新生血管)の発育をとめたり、もともとの血管を強くしたり、悪い白血球の侵入をふせいだりしたことがメカニズムとして考えられるそうです。もう一つの論文でもフェノフィブラートはコレステロールを下げたり、炎症をおさえたりして動脈硬化を防ぐと報告していました。糖尿病の患者さんは飲み薬の数が多いので厳選して最小限にすることが重要と思いますが、少なくとも例えば網膜症がすすんでいて、かつ高脂血症にも関わらずコレステロールの薬は筋肉などの副作用で飲めない人等には有用な薬と思われます。

2009年10月20日

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