今月の糖尿病ニュース

2023年6月の糖尿病ニュース

Cardiometabolic disease(心代謝疾患)

おおはしクリニック 第83回米国糖尿病学会年次学術集会(ADA)に4年振りに現地参加することができました。6月26日に閉会し28日ADAホームページを開いてみると既にオンデマンドがざっと見たところ完璧に視聴できるようになっていて、その速さに感心すると共に自分が現地で参加した分はほんの一部だったことに気づきました。また実地医家という立場からより臨床的な内容を選んだというバイアスはあると思いますがCardiometabolic disease(心代謝疾患、以下CMD)という概念が印象に残りました。シンポジウム;CMDのガイドラインに沿った治療実現-出現しつつある学際的主導(Implementation of Guideline-Directed Medical Therapy for CMD―Emerging Multidisciplinary initiatives 24日朝8時~)はその一つでMuthiah Vaduganathan先生がCMD診療における現在のギャップ(不足点)について、Robert Eckel先生が(軌道に乗りつつある)フェローシップについて、Mikhail Kosiborod先生がOne Stop Shop-CMDセンターの現状について講演されました。CMDセンターは2021年2月1日付でSaint Luke’sのホームページ(saintlukeskc.org)にも解説がありました。現在はCardiometabolic Center Alliance(同盟)という形に発展しているそうです。

おおはしクリニック CMDとは内分泌内科(糖尿病内科)、循環器内科、腎臓内科で診る疾患のうち心臓のインターベンション、透析、腎生検、内科的痛みの治療などを除いた疾患を一元的に考えるもので心不全、慢性腎臓病、脂肪肝などが含まれています。ただし糖尿病のある人がすべてCMDに該当するわけではありません。従来総合的に患者さんを診るのが実地医家の役割ですが、最近SGLT2阻害剤、GLP-1受容体作動薬などの登場で心不全、慢性腎臓病治療が進歩する一方複雑で一般内科医のみならず各専門医も使いこなすのが無理という報告(至適治療は米国全体で10%以下)などから構想が活発化したとのことです。CMDセンターでは各専門医が連携し診療(将来はCMD専門医ができる可能性もあり)・医師教育プログラムに当たり、医師以外の専門医療スタッフと協力する体制がとられています。効果も実証されており至適治療増加、体重減量、使用インスリン減量、HbA1c・コレステロール低下などが報告されています。

おおはしクリニック 最近講演会や学会で「循環器科専門医から見た糖尿病」「糖尿病専門医からみた心不全」「腎臓内科の立場からみると」などの言葉をよく聞き閉鎖性が少し気になっていたのでCMD関連の動きに合理性を感じ、統一病態メカニズムの解明が期待されます。

おおはしクリニック サンディエゴの学会場は野球場に隣接しているのが魅力で23日金曜日18時40分からパドレスナショナルズ戦があり観戦できました。ダルビッシュは出場しませんでしたがチーム勝利後の出迎えにベンチから出てきてWBCでの貢献を思い出し感動しました。 またその日はDeFronzo先生に御挨拶ができ学会最高の一日でした。

2023年6月


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