今月の糖尿病ニュース

2018年10月の糖尿病ニュース

糖尿病療養指導カードシステム

看護師長の音喜多です。
さる9月23.24日第23回日本糖尿病教育看護学会学術集会が茨城県水戸市で行われ参加してきました。今回は日本糖尿病協会が新しい療養指導ツールとして普及を進めている「糖尿病療養指導カードシステム」を当院で取り入れる為の情報収集が一つの目的でした。
当院は10月2日開院9周年を迎え看護師は5人になりましたが、うち3人は交替で勤務しながら療養指導に当たっているため、スタッフ間の情報を共有し患者指導に活かすため初診後継続指導ツールについて検討し看護研究を進めていました。
また療養指導において従来のテキスト方式では広く浅くになりがちですが、個々の患者さんに関心のある項目を重点的に編集し効率よく継続性にも優れたシステムであることから是非当院で普及させたいと思っていました。

カードシステムの講演を聞いて得た情報をまとめてみました。

  1. 療養指導カードは異なる糖尿病患者さんの病状や生活環境など、患者さんにあわせ自在にカスタマイズ出来る
  2. 79種類の名刺カードを使用して指導項目を組み合わせ、最も適した指導プランを作ることができ、サポート出来る
  3. 指導箋を専用ページからセレクトしてタイムリーに印刷出来る
  4. 指導の過程でヴアリアンスが発生しても細分化したカードから俯瞰して項目の取捨選択出来次の課題が明確になる

が特徴です。

指導箋に一言加えて血の通った物にもなる、また印籠のような物と言う言葉も胸に響き、12月に再度講習会にスタッフと参加し何が出来るか考え、主体性を持って実践出来るように勉強してきます。看護学会に参加させていただきありがとうございました。

第55回日本糖尿病学会近畿地方会

ここからは院長大橋が担当します。
上記会議が10月27日神戸で開催され、「チームで取り組む肥満糖尿病診療」シンポジウムを聴講しました。

6月のニュース(RISE研究)で少しご紹介したように当クリニックにおいても若い糖尿病患者さんは血糖・体重コントロール経過が比較的悪い印象があったので最近調べたところ以下のような状況でした。
2018年1月4日~10月15日糖尿病で受診かつ採血をうけた患者さんは延べ3245名、うちデータ欠損のないもの3079名分を集計しました。平均年齢65.2才、HbA1c7.60%、BMI25.0でした。
次に40才未満または40才台で糖尿病歴10年以上の2型糖尿病患者さん61名(初診から1年以上通院歴のある人)の最新データを抽出し、薬剤処方状況および肝機能(全経過中最高GPT値=maxGPT)も併せて調べました。
平均年齢42.5±5.6才、糖尿病歴11±6年、HbA1c8.07±1.59%、BMI29.1±5.98、各薬剤処方割合;インスリン42% メトホルミン82% ピオグリタゾン27% DPP4阻害剤42% SGLT2阻害剤38% SU剤40% GLP-1アナログ13% αG阻害剤7% グリニド3%、maxGPT75±53(30未満7名)でした。

以上よりもちろん若い人特有な病識の低さ、仕事が多忙など社会的事情ももちろんあると思いますが、RISE研究から導かれた考察「インスリン抵抗性が強大でインスリン分泌低下が進行」と似た状況が浮かびあがり、インスリン抵抗性(肥満、脂肪肝など)対策の重要性が示唆されました。
学会ではSGLT2阻害剤は食事量が増え体重が減らないこともあるが動物実験では脂肪組織性状が「好転」し血糖がさがること、体重が減る症例では内服開始後体重減少を経験してモチベーションがあがり適切な食事指導が大きな貢献をしていることが紹介されました。
またGLP-1の食欲抑制作用、GIPの体重への作用も紹介されました。

2018年10月

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