今月の糖尿病ニュース

2013年8月の糖尿病ニュース

腎臓リハビリテーション / フットケア

今月の担当は看護師長音喜多です。
日本糖尿病協会(以下日糖協)は糖尿病療養指導者育成・全国的質均てん化推進役を担い、近年では新しい糖尿病療養指導ツール「カンバセーションマップ」の普及、療養指導者向け雑誌「DMEnsemble」の発行等をしていますが、今回7/27(土)~28(日)日糖協主催第1回療養指導学術集会が国立京都国際会館で開かれたため参加しました。

参加した主なプログラムは会長講演(岐阜大学大学院医学系研究科武田純先生)「地域における糖尿病医療の課題と展望 ~岐阜県の現況と取り組み」、教育講演(東北大学大学院医学系研究科上月正博先生)「糖尿病療養に腎臓リハビリがなぜ必要なのか?」、地域CDE活動報告「CDEの組織運営と道標」、イブニングセミナー「療養指導に関する職種合同シンポジウム;療養指導における職種間コンセンサスと連携の強化」、モーニングセミナー(天理よろず相談所病院石井均先生)「糖尿病患者への心理行動学的アプローチー糖尿病医療学入門」、スモールグループディスカッション「フットケア」ですがその中から腎臓リハビリテーション、フットケアの内容について述べたいと思います。

腎臓リハビリテーション(以下、腎臓リハビリ)は、腎不全患者に対して、運動療法、教育、食事療法、精神的ケアなどを行う新たな内部障害リハビリで、主要な構成要素である運動療法は、低栄養・炎症複合症候群改善、異化抑制、運動耐容能改善、QOL改善、死亡率の低下、などさまざまな効果をもたらすそうです。従来透析患者及び末期腎不全患者に対して運動療法は賛否両論、または消極的立場が多かったと思いますが、最近では積極的に研究されていることを聴いて目から鱗でした。

今回は透析中の運動方法が具体的に紹介されました。足踏みや踏み台を使った運動を約20分行ってから、透析を開始。透析中は、ベッド横たわった姿勢のまま、両脚におもりを付けての自転車こぎや、手や腕を動かして筋力増強を促します。

ちなみに腎臓リハビリは1994年に米国で始まり、国内でもここ10年で広がり、2011年1月上月正博先生が理事長となり日本腎臓リハビリテーション学会が発足したとのことです。

おおはしクリニック

当クリニックでは主に透析患者さんより末期腎不全患者さんが対象となりますが腎不全の悪化や虚血性心疾患発症に注意しながら、近隣の循環器内科とも連携を取りながら適切な運動療法を考えて行きたいと思います。

フットケアについてはクリニックや大学病院の医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士等が一同に会し各施設の工夫、取り組みがまず提示された後問題点と症例のディスカッションとなりました。共通の問題は人員不足、物資不足、時間不足、また問題が起きた時に総括責任者がいないなど深刻でした。糖尿病合併症管理料によりフットケアを算定すると500円程度の患者さんの負担になりますが、「近辺のマッサージなどは最低でも5~6千円かかります。今日は500円で気持ち良い思いをして帰って下さい」など何気ない言葉のやりとり、他にも「糖尿の診察よりフットケアだけは来たい」「フットケアは最後の砦になっている、ここが私にとって一番大事」という実際の現場の声も印象に残りました。

また最近炭酸水が話題で当クリニックでも飲用としてとしてA1cがよくなった(ビールの代わりに)、食事前に飲むと過食が防げたなどの声を聞いていましたが、血行促進効果を利用して足浴用として推奨されていたのは発見でした。

味方の医師をつけ、仲間を増やし、スタッフの意識改革などで成果を上げて患者さんの目標に近づけて足病変の早期発見に努め、切断にならないように継続した関わりが重要であると再認識しました。 いずれも活発なセッションで糖尿病療養指導の充実、発展に向けた2日間で今後の療養指導能力の向上に努めて行きたいと思います。

☆甲子園鳴門高校残念でしたね おおはしクリニック
2013年8月

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