今月の糖尿病ニュース

2013年6月の糖尿病ニュース

脳・腸と糖尿病(ADA学会参加報告1)

シカゴで開かれたアメリカ糖尿病学会に22日(土)から24日(月)まで参加しました。出席できなかった21日、25日の分は、近年できたWeb Castという便利なシステムがありインターネット(大部分有料)でチェック予定ですが未配信のため、今月は学会見聞録です。

おおはしクリニック

さて毎月のこと、一臨床医がすべての糖尿病ニュースを把握するなど到底できるはずもなくあくまで“おおはしクリニックの診療において関係深いニュース”なのですが、今学会インパクトはトップが脳関連、次が腸でした。血糖値は膵臓から出たインスリンが肝臓筋肉脂肪に働いて制御されるものと古典的に考えられていましたが、15年ほど前から徐々に脳内のインスリンシグナルが重要とわかりOutstanding Scientific Achievement Award (最優秀科学賞?)レクチュアで紹介されました。

また8年ほど前から脳内視床下部の炎症が肥満などを引き起こすこともわかってきています。高脂肪食はいずれのリスクにもあげられ、運動は炎症を鎮めることが強調されました。また今春アメリカ糖尿病学会から発刊された「糖尿病と脳」という本を読むと脳MRIを使った研究が多いことも気付きました。

おおはしクリニック腸については一般にも藤田絋一郎先生の著書「脳はバカ、腸は賢い」などによりよく知られていますが学会では肥満手術(腸を切除再建)の話題がトピックでした。術直後体重がまだ減らないうちから血糖値が下がるのですがメカニズムは不詳でホルモンや胆汁の分泌変化などが想定されています。25日火曜には腸内細菌のシンポジウムも開かれたようですが先述の通りまだ内容は知りません。

テキサス大学留学時の恩師DeFronzo教授がメトホルミンの腸を介する作用についてポスター発表されていたのも大きなニュースでした。

おおはしクリニック

簡単ですが来月に続編の予定です。

2013年6月

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