2026年4月の糖尿病ニュース
膵β細胞量と機能について
糖尿病寛解(薬物療法を行っていない状態でHbA1c6.5%未満が3か月以上続く状態)、前糖尿病寛解(HbA1c5.7%未満、空腹時血糖100 mg/dl未満、糖負荷試験2時間血糖値140 mg/dl未満が12か月以上続く状態)の概念について昨年10月考えました。長期糖尿病予防には前糖尿病寛解が望ましいこと、寛解維持は個別対応が必要、腎疾患や心血管疾患予防にもつながる可能性などがわかりました。
その際主役は膵β細胞です。ではどう評価するか?
インスリン分泌はブドウ糖負荷試験、アルギニン負荷試験、HOMA2-%B(1)、Cペプチド測定(2)などで評価されるもののあくまでβ細胞機能であり、人の画像診断によるβ細胞量測定は大変難しいことでしたが臨床応用に向けた報告(1)(2)が最近ありました。画像診断詳細は省略しますがCopilotによると膵臓は腹部奥深くにある上、β細胞は膵臓全体の1〜3% しか占めず、しかも散らばって存在するのでCTやMRIでは識別できず分子イメージングが必要です。
β細胞に結合するトレーサーはGLP-1受容体に結合するExendin-4で68Ga、18Fで標識されPETカメラで検出されます。CTと組み合わせて分布もわかります。
この方法を用いてRouxenY胃バイパス術を受けた2型糖尿病をもつ人に対してβ細胞機能と量を測定し2型糖尿病寛解・非寛解者間比較したところ寛解者で機能は改善するものの量は増加しないという結果でした(1)。1型糖尿病の種々のステージ(抗体のみ陽性~インスリン依存)ではインスリン分泌が測定されない人でもβ細胞残存があること、β細胞量は様々なことがわかりました(2)。
論文著者の考察として、2型糖尿病ではβ細胞量と機能の乖離を説明するのにβ細胞の脱分化または休眠状態(非機能状態)への変化と回復を挙げています。ただし非機能状態でGLP-1受容体がどう変化するかは不明と述べています。1型糖尿病ではβ細胞量は血糖値と相関しない(HbA1cとは逆相関)ことから血糖値に左右されず測定できるため、例えばteplizumabによる免疫療法(日本では未承認?)の適応決定(細胞量が多いとき)などに有用ではないかということです。
最近SGLT2阻害剤、GLP-1(/GIP)受容体作動薬の隆盛から肝腎心の話題が豊富ですが、今回本家(?私の意見)膵β細胞研究の現状一端を知ることができました。
日常診療でも「私のβ細胞はどれぐらい残っていますか?」とよく聞かれます。
関心の高い分野なので今後もフォローしたいと思います。
参考文献
- Tokgöz Sら:RouxenY胃バイパス後2型糖尿病寛解・非寛解者におけるβ細胞機能と量. Diabetologia 69:1295-1300, May 2026
- Sakaki Kら:定量的β細胞量イメージングは、1型糖尿病における疾患の段階分類と血糖コントロールを再定義する. Diabetes 75: 787-798, May 2026
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